げんろんのじゆう

人生は与えられたカードでの真剣勝負

読書録 22/1

1月は3冊読みました。

飛沫を浴びることで他人の未来が見える能力を持った主人公がぐるぐると事件に巻き込まれていく話。明らかにコロナの飛沫感染から着想を得ているものの、あとがきによれば、著者がニーチェを再読したことから始まった作品らしいです。それにしても、僕の教養≒知識がないとはいえ、繰り返し出てくる「永遠回帰」の話はいささかクドかった。全体としてはもちろん面白かったもののパンチに欠ける感はあり、ところどころ挿入されるメタ要素も必要性が分からないままだったのが少し残念です。もう少し猫を好きだったらもっとハマって読めたかもしれません…。

 

『四畳半神話体系』シリーズが名作『タイムマシン・ブルース』とまさかのコラボ。というかオマージュ。大筋は原作とほとんど一緒ですが、旧知の文体&キャラクターたちで再演されるだけで何割か増しで面白い。端々の会話劇から青春いっぱいのオチのところに至るまで、大変上手く落とし込まれています。単体でも面白いですが、上記の元作品を両方知っている方が楽しめるとは思います。

 

世の男性たちを主人公にしてリアルな孤独や切なさを切り取った短編集。この手の作品って女性目線の話ばかりなので珍しい気がします。しかも著者は女性という。

どれも「あるある」に収まらない解像度の高さで、とても読みやすいのにいい意味で毒や棘が見え隠れする癖のある話ばかりなのでずっと心中穏やかでない。さすが山内マリコだ… 系統としては綿谷りさとか朝井リョウのあの感じが好きならハマると思います。

 

特に何かがあった訳ではないけど、色々考えて一瞬心が荒れた月。マスターデュエルに没頭することで救われる日々。アルセウスは気力がなくて途中から放置しているのでネタバレ踏む前にやらなきゃなあ…