げんろんのじゆう

人生は与えられたカードでの真剣勝負

読書録 23/6・7

6月は4冊、7月は6冊読みました。

 

先月読んだ作品のシリーズ2作目。図書館本なので前作と見比べていませんが、決め台詞が追加された?ような気がします。目につくようになっただけかも。短編3つとも悪くない話でしたが、女子高生に色気を出している留年大学生の主人公がちょっとキモい気も。ラストが次作につながるような引きだったので早く次作を読みたいです。

 

自分が目撃した殺人事件の容疑者になった女性は、浮気を疑われることが怖くてアリバイを言い出せず…というところから始まるミステリー。

シンプルながら見事なトリックで、名作としてよく名前を聞くのにも納得。ずっと違和感はあったのですが頭の中で形にならず、本気で突き詰めていれば解けたはずの内容だったので少し悔しいところです。

 

切ない気持ちになる系の短編集。川上未映子の文体の好き嫌いで読みやすさが変わりそう。好きなのは『日曜日はどこへ』、オシャレなのは『アイスクリーム熱』、怖いのは『お花畑自身』、完成度が高いと思うのは『十三月怪談』です。

 

サバゲーサークルに所属するオタク大学生の恋愛がこじれまくる青春小説。主人公の暴走っぷりや陰キャならではの思考の解像度が変に高いところが面白いです。夜中に読み出したけど一気読みしてしまいました。この作者は初読だったので別の作品も読んでみたいです。

 

人生に悩む人たちが図書館のレファレンスセンターを訪れ、本との出会いから前向きに変わっていく短編集。ご都合系なところはあると思うのですが、本そのもののパワーというより、本との出会いをきっかけに登場人物それぞれが自分なりの解釈をもって前向きに立ち上がる姿が描かれているのが良かったです。

 

ありがちな別荘もののミステリー…と思いきやそのシナリオの犯人を当てるという趣向の番組による多重解決モノ。全貌はうっすら見えてはくるものの、全体を通しての仕掛けが明かされた時はやはり衝撃。しっかり解こうとすると細かい伏線が多い一方、ノリが軽いのでどんどん読めます。

 

通り魔的に刺された女子高生が犯人に復讐しようと奔走する、ミステリー兼青春小説。上述の『君がいた世界は〜』が面白かったので同じ作者の本をもっと読みたいと思って手を伸ばしました。

結果は大当たりで、ぐいぐいとどちらへ進むか分からない展開にほぼ一気読みしました。地の文が読みやすいのとは別に、ちょっと普通からはズレていて癖のある、それでいてどこか憎めない主人公の一人称視点を書くのがとても上手だと感じました。これはしばらくハマるかも…

 

主人公(非語り手)の成瀬の生き様を描いた青春小説。という説明でいいのか悩みますが、ユニークな人物像を妙なリアリティで淡々と描いているのが印象的でした。

というのも、構成としての起承転結や会話劇はあるものの青春小説特有の盛り上がりには欠けており、個人的には物足りずむず痒かったのですが、それが本作の味になっているからです。

また、舞台は著者の居住地である滋賀県が時勢的な話題も含めリアルに綴られており、それも魅力のひとつになっています。僕も個人的に縁のある固有名詞などが出てきてテンションが上がったひとりですが、滋賀県出身者はとりあえず読んで損はないのは間違いありません。

 

東大出身のミステリー作家によるオムニバス。企画出オチ系かと思いきや個々がしっかり面白く、良い意味で裏切られました。短編が好きな人はぜひ。

 

シリーズ3作目にしてラスト。面白くはあったのですが、これまで引っ張ってきた部分を一気に回収する意思が見え、悪役があからさますぎてちょっと残念でした。

 

 

7月は特にライフステージ的用事(隠密表現)が忙しく自分の時間を保つことが難しかったのですが、見返すとそれなりに数読んでますね。

これを書いているのが10月なので、細かいことは忘れました。