げんろんのじゆう

人生は与えられたカードでの真剣勝負

読書録 2022/8-12

気付いたらめっちゃ溜まってました。

8月は8冊、9月は4冊、10月は1冊、11月は2冊読みました。12月はなし。

 

一個一個に長編的な厚みを感じるミステリ短編集。「情念」が全編に通じるテーマで、読み終えた後に余韻を噛み締めたくなる作品ばかりです。

表題作が注目されがちですが、個人的には「二つの顔」「二重生活」が気に入りました。

 

亡くなった夫は別は偽名の別人だったーという魅力的な謎から始まる物語。といってもミステリーというよりヒューマンドラマのテイストが強いです。途中混乱はしたけど納得感もあり全体としてのまとまりもいい話でした。

後日映画も観ましたが、こちらも原作の良さを損なうことなく上質な作品に仕上がっていました。

 

宮部みゆき天才案件。『ソロモンの偽証』を読んで感動したのが2年前ですが、それに匹敵する超大作です。ミステリーとしても面白いけど人物描写が特別上手で、めちゃくちゃ長いのに読んでて飽きません。ところどころ微グロ描写や胸糞展開があるのだけ人を選ぶかもしれませんが、それを差し引いても読んだ方がいいですね。

 

同名舞台劇の本人によるノベライズ。タイトルのポップさが好きで昔から存在は知っていたのですが、内容は痛々しいというか胸糞が悪いというか、シンプルに裏切られました。作者自身が毒のある作品を書くのは知っていたので勝手な期待を持っていた自分が悪いといえば悪い…のか?

 

帯で宮部みゆきが今年ベストと絶賛していたので興味を惹かれ購入。主人公の少女が父の死の真相を探るため奮闘するのですが、ファンタジー1割・ミステリー5割・冒険4割くらいの内容です。「嘘の木」という異色の設定以外は結構王道で、全体を通して楽しく読めました。

解説に「児童文学」とあって驚いたのですが、厚さも内容もなかなかしっかりしていたので読書に慣れている子じゃないとキツいのでは…と思いました。

 

ざっくりジャンルだけ知っていて、ミステリーではないクリスティ 作品、質の高い恋愛小説、くらいの印象で読み始めたらまあまあ裏切られました。ネタバレ的にどこまで書いていいのか分からないのですが、結構残酷に怖い話だと思いました。自分にも振り返るところは多々あるかもしれません。ぼやかした書き方になりましたが、とても面白かったのでおすすめです。

 

"元"天才の少年少女たちがスーパーAIの力を借りて再起を目指す過程や葛藤を描いた作品。読みやすくて良かったですし、何よりタイトルがいいですね。意外にもミステリー要素はなし。

 

水墨画をテーマにした青春小説。正直読み終えてからめちゃくちゃ水墨画を始めたくなりました。なお行動には移さず。ストーリーが良いのもさることながら、水墨画そのものに対するリスペクトがあって初心者にも分かりやすく解説してくれるので入り込んで読めました。

後に公開された映画も観たのですが、こちらは水墨画そのものに対する配分を削って青春エンタメの割合を強めた格好。よくまとまっていましたが小説の方が圧倒的におすすめ。ただし実際の水墨画作品を見るとかなり圧巻なので映画には映画の良さがあります。なお、エンドロールに流れる主題歌は場違いに明るくて監督のセンスを疑いました。

 

同作の舞台を観に行くにあたって前日に再読。ハリーの成長しなさも息子たちの腕白さもすれ違いも全部愛おしいです。

舞台は向井理主演の回で、とんでもなくレベルが高かったので(席も高かったですが)ハリポタファンは絶対に観に行った方がいいと思います。

 

今どき珍しい袋とじ作品ということで購入。2人の作者がそれぞれ自己完結する作品を書いており、袋とじでは本というか作品全体のギミックが明かされる仕掛け。

内容的には図書館本でもよかった気はしますが、こういう作品は何が起こるか分からないワクワク感まで含めての体験だと思っているので新品で買って良かったです。

 

クイズ番組の決勝戦、最後の問題で相手は問題が読まれる前にボタンを押し、正解した。 ーいったいなぜか? という魅力的な冒頭から始まる、クイズという文化を題材にしたスラムドッグミリオネア。

目線を変えると日常のすべてがクイズに直結しているということに気付ける、大変質の高いエンタメ作品だと思います。軽くて読みやすいし引き込まれるのでおすすめです。