げんろんのじゆう

人生は与えられたカードでの真剣勝負

読書録 20/9・10

9月は2冊、10月は7冊読みました。

 

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

  • 作者:江國 香織
  • 発売日: 2001/09/20
  • メディア: 文庫
 
冷静と情熱のあいだ Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Blu (角川文庫)

  • 作者:辻 仁成
  • 発売日: 2001/09/21
  • メディア: 文庫
 

江國香織辻仁成のコラボ連載作品。ということを知ったのはRosso(江國香織)の方を読み終えた後のあとがきでした。確かに不完全なところや説明のない謎の文があったので納得。副題の存在に全然気付きませんでした。仕方ないのでBlu(辻仁成)を急遽メルカリで買うことに…。

結論から言うと、それぞれのラストは綺麗に締まって流石だったものの、昔愛し合ったお互いを忘れられないW主人公がダサくて痛くて見てられなかったというのが本音です。サブキャラも共感できる人がほとんどいない反面、嫌な人や可哀想な人は多いという…

どちらかといえばBluの方が文章は読みやすく、話としてもまだ楽しめました。主人公がクズでなければそこそこ良かった気もするけど、ナルシスト作者の影がちらつきすぎてました。

Rossoは途中まで何を見せられてるんだ…という感じで、特に語ることもありません。まあ先述したように(圧倒的予定調和を除けば)終盤は両方とも綺麗な終わり方だったし、当然2作品ともを読むことで理解が深まる点も多かったです。

今回僕にはハマりませんでしたが、こういうビッグネーム同士の共作ってチャレンジングでいいと思うので、それ自体は良かったし今後も期待したいなと思うところです。(そもそもが結構前の作品ですが)

 

検察側の罪人 文庫 (上)(下)セット

検察側の罪人 文庫 (上)(下)セット

  • メディア: セット買い
 

ベテラン検事と新米検事のW主人公を上手く対比させながら話が進み、面白かったし考えさせられました。タイトルの意味は数十ページ読んだら想像がつくものの、2人がそれぞれの正義と執念を貫くために泥にまみれることを厭わないせいで、予想以上にグイグイ持っていかれます。ラストとかも僕は嫌いじゃないけど、何とも呻きたいような気持ちにさせられました。

あとこういう言い方は意地悪ですが、タイトルの元ネタである『検察側の証人』を読んだ時ほどの衝撃はありませんでした。全然やってること違うので比べるのも何ですが…

 

四つの署名 (光文社文庫)

四つの署名 (光文社文庫)

 

先日の誕生日にプチ贅沢しようと思ってホームズ全集を買いました。光文社にしたのはネットで調べてた中で一番評判が良かったから。

ホームズはまともに読んだのが小学校ぶりだったのですが、当時は子供向けに1冊ずつに分かれた短編を中心に読んでいたので、長編2つが全然読んだ記憶なくて新鮮でした。流石にどこかで読んだはずなんだけどな… 言うて短編も知らないんだか記憶ないんだかの話が多かったので、細かいことは気にせず、楽しめたので良かったということにしておきます。

独特の雰囲気と色褪せない魅力があるのは19世紀末のロンドンという舞台が持つ雰囲気もあるのかなというのは子どもの頃には気付けなかったことですが、貨幣の換算が頭で上手くいかずちょっと読みづらかったです。

残りの数冊も読み終えたら、ホームズネタが軸に取り込まれている『大逆転裁判』でも久々に触ろうかなと思いました。あれは続編まで含めてガチ名作なので、知らない方はぜひ。

 

はつ恋 (新潮文庫)

はつ恋 (新潮文庫)

 

16歳の主人公が隣に越してきた21歳の綺麗なお姉さんに恋をするも… という話。大枠の展開は途中で少し読めたものの、そこは大事な部分ではないので問題なし。大きなインパクトがある作品というより、描写の美しさと普遍的なテーマ、静謐ながらハラハラした雰囲気に全体の綺麗なまとまりなどが際立つ作品でした。簡単に言うと名作だなあと。

初恋について主人公と同じ感情を持ったことはなかったものの(ややSM的な振り回される関係性であったり恋を自覚した時の雷光であったり)、なぜかいずれも共感できます。そして若さ・青春というものの強さと儚さ。ラストのお父さんとの場面や老婆との場面も好きです。

あと昔風の語り口はスッと入ってこないのに、不思議とどこか肌に馴染みます。時代性のせいか翻訳作品だからなのか。"現在"の語り手と同じ年齢になったらまた違う味わいがありそうなので、思い出したら読み返したいと思います。

 

 

9月は仕事が少しだけバタバタしてたり久々に県外に遊びに出たりしてたのであまり読めず。

反対に10月はホームズ全集を買ったおかげでモチベが上がったのか、そこそこ読むことができました。やっぱり何事もモチベーションですね。