げんろんのじゆう

人生は与えられたカードでの真剣勝負

映画『名探偵ピカチュウ』感想(ネタバレあり)

初夏は!!!ポケモン!!!!

 

ポケモンがついにハリウッドで実写化!!というニュースは、ポケモンファンのみならず結構大きな衝撃を与えたのではないかと思います。知らない方はこちらをご覧ください。ちなみに原作は同名のゲームです。

 

最初に言っておくと、僕はリアルポケモンとかその類のやつが小さい頃から憎むレベルで嫌いだったため、正直まるで期待していませんでした。ただ食わず嫌いするのも良くないと思ったのと、世間での評判が予想以上に高かったため観に行くことにしました。画面に集中するため、字幕ではなく吹替版を選択しました。

f:id:genuinegen:20190511125620j:imageこういうやつ

 

ざっくり結論から言うと、ポケモンにそこまで詳しくない人も楽しめ、詳しい(ただしポケモンの質感にこだわりがない)人は端々の小ネタまで楽しめる良映画でした。

注文をつけたいところは死ぬほどありますが、少なくとも大爆死する出来ではないことは確かですし、金だけかけた悪ふざけではないことは僕にも伝わりました。

 

以下、感想を列挙します。観た人なら分かる程度に伏せて書いてはありますが、一応ガンガンにネタバレを含みますのでご注意ください。また、記憶違い等あるかもしれませんがご容赦ください。何か思い出したら追記するかもです。

 

ストーリー・人間について

・ストーリー展開は並ながら楽しく見られました。探偵モノと言うより探偵やってた人の足跡を辿る旅だった気もしますが、サスペンス要素もアクション要素もあってある程度まとまってた気がします。

・ストーリーの大オチに関しては名探偵ピカチュウのゲームをプレイ済みのため知ってました。やってない人も途中で気付ける仕様だったと思いますが、気付く必要があったかはだいぶ微妙なところです。途中が盛り上がったために大元の目的が薄くなるというのは、ポケモン本編で図鑑埋めることを忘れてジム・リーグ巡りに夢中になる現象に近いものがありますね。

・映画に詳しくない僕はハリウッドというと超名作か実写大爆死かのイメージしかなかったのですが、建物や背景、カメラワークなどは流石のかっこよさでした。単に金かけてるだけじゃなくて世界観キチッと作る気が伝わってきます。

・どんな高いところから落ちても顔しかめながら機敏に動けるのはアニメのサトシと同じくらいすごい。苦手な表現ながら、よくスーパーサイヤ人をもじって「スーパーマサラ人」なんて言われますが、この世界の人皆そんな感じです。野暮なこと言うのは嫌いですが、何だかんだ実写だと際立ちます。

・外国人が活躍する話なのはハリウッドだからというよりゲームの時からそうなので特に抵抗なし。アメリカとかの人がどう感じてるかは知りませんが、実写ならむしろ日本人でない方が先入観もなく作品としてしっかり観やすい印象。アメリカンジョークや洋画ノリも終始多かったですね。

・主人公のティムはたまに皮肉屋な好青年なのですが、冒頭でカラカラをゲットするためにまず仲良くなれというアドバイスを受けて「君ってすごいよね!死んだ母親の頭蓋骨を被るのってなかなかできることじゃないよ!」って語りかけるシーン、シンプルにサイコパスかと思いました。「怒らせちゃったみたいだ…」じゃねえよ。

・あと「カラカラはきっとティムに合うよ!君には水ポケモンも炎ポケモンも合わない、その点カラカラは…」「『孤独』」ニヤッ の部分、カラカラの分類が「こどくポケモン」であることを知っていても割と意味分からなかったです。

・本作ヒロインのルーシー、割とかわいくて後輩?の誰かに似てるけど思い出せず終始モヤモヤしてました。夢に熱心ないいやつなのは分かるけど、自称記者(本当はポケモンのブログ記事を書いてるだけの記者見習い)のくせに亡くなった父親の部屋を訪ねてきた息子に対して開口一番「何か教えて!隠さないで!」はないでしょ…サイコパスというよりマスゴミって感じ。そういう意味では素質あるよ君。

ピカチュウの低いおじさん声は賛否ある(のか?)けど僕は全然抵抗ないし好きです。ゲームの方が渋くて低い声だった分慣れてるのかもしれません。

・テレビ局のセキュリティ、ガバガバすぎでは?あとロジャーさん父親陣営に捕らえられるのはまだしも素人の部下にPCデータ盗まれるのはちょっと…

・ホログラム万能説。こんな時代が来たら楽しいだろうなあ。

ミュウツーに乗り移る演出は原作のマサキを彷彿とさせるポケモンならでは感があった一方、最後の手段がガスによる大規模バイオテロなのが現実味あっていいコントラストになっていると感じました。

・エンドロールは人だけじゃなくポケモンへのリスペクトを感じて大変良かったです。日本語ドーン!がクソダサかったですけど、日本人以外には分からないことですしポケモンを生んだ国へのリスペクトだと捉えたのでむしろ好意的に捉えました。

・多くの人が言っていた「街中に人とポケモンが自然に共存してるだけでテンション上がる!」ってやつは頭では理解できるものの、実写ならではの作り物感が気になってそんなピンときませんでした。

・エンドロール時の曲はオシャレ洋楽の後にノリノリの邦楽が流れて、どう受け止めればいいのか分かりませんでした。この辺りで席を立つ親子が多すぎて大変ウザかったです。最後の逆襲evo.予告まで見て終わりだろ!開始してからもしばらく喋ってたのに余韻まで汚すな!という気持ちを押し殺すのが大変でした。

・昨年上映の「みんなの物語」同様、最後に「ミュウツーの逆襲 Evolution」の予告が流れるのが激アツでした。予想してたけど鳥肌立ちました。向こうは3Dのポケモンが最高で人の3Dが微妙すぎるので、足して2で割れば…とか思ってしまいました。

いやあ7/12(金)が楽しみだなあ!!!

 

ポケモンについて

ポケモンの質感がゴミ。毛を過剰なまでにフサフサにするか肌の色荒くしてザラザラにしとけばいいと思ってるでしょ。僕はあくまでなめらかな質感派なので、実写にするということを履き違えるなという気持ちでいっぱいです。ただ、反対に今までのイメージを打ち破ったという見方もできるとは思うので、好意的に言えばオタクの言うところの「解釈違い」ってやつでしょうか。

・メジャーどころ以外の意外なポケモンも含め、全世代のポケモンが登場しており、ポケモンが151体ではないことが伝わってきます。一方で、あんなに大きな街なのに実際街中にいる人たちが連れているポケモンは10種類くらいと少なく、ちょっと残念な気持ちと製作大変だったんだなあという気持ちが生まれます。最後にエーフィとフシギバナを新たにちらっと確認できて嬉しかったです。

 

悪かったポケモン

ピカチュウコダックエモンガカビゴン・ルンパッパその他、フサフサしすぎで気持ち悪い。ケッキングやウインディですら毛量が過剰に感じます。

ピカチュウの赤いほっぺ、あれ頬袋なんですけど… ただほっぺだけ赤く塗ったみたいになってて非常に残念でした。

キモリゲッコウガフシギダネその他、テカテカザラザラで気持ち悪い。

エイパム・ゲンガー・バリヤード顔がマジで受け付けない。不気味の谷とかじゃなくて普通に不気味。エイパムは小学生以下の時に見てたらトラウマになってたと思うので、大きくなってから見られて良かったです。

 

良かったポケモン

・何と言ってもドダイトス。認識できる範囲での登場時間はかなり短く、ぶっちゃけいなくてもストーリーに支障ない説までありますが、あれこそ実写化した意味だと僕は思いました。大変かっこよかったです。これは近年出るであろうDPtリメイクでナエトル選ぶ率が上がりそうですね。

・もう一人の立役者はもちろんメタモンドダイトスと違ってストーリーでがっつり活躍しましたね。遺伝子操作で強化されたとはいっても任意のタイミングで任意のポケモンや人に化けて能力コピれるの強すぎだと思うんですけど… ティムをビル窓まで追い詰めた後、カラカラでのとどめの刺し方がエグすぎる。目が点になる演出はアニメ同様生態をしっかり表現しつつかわいかったですし、サングラスかけてた理由にもなってて良かったです。

ネマシュキュワワーはそんな違和感なく見られてよかったです。カメラが遠めだったのも幸いしたかもしれません。

ゴルーグは最後ちょっと映っただけですが、重厚感出ててかっこよかったです。XYの像を思い出しました。主役の伝説ポケモンより目立ってたというレシゼク映画を彷彿とさせるいい登場でしたね。

バリヤードは顔こそ気持ち悪いものの、時間をかけてしっかりキャラを立たせてあげていて魅せ方が上手いなと思いました。アニメではサトシの家で家事手伝いをしているかわいいポジションですが、よりエスパーポケモンとしての不思議さ・不気味さを引き出せていて良かったと思います。キモリも壁(ガラスケース)にひっついてる感じが生態をよく表していて好感が持てました。

・ゲンガーも顔こそ酷かったものの、バトル時の動きは完璧でした。ブログのアイコン見ても分かる通り、ゲンガーは一番好きなポケモンなので活躍してくれて嬉しかったです。

 

小ネタ云々

・最初は「ミュウツーの逆襲」のオマージュですね。ミュウツーが閉じ込められてる機械を破ってどっか行っちゃうという。泡とか爆発も。

・鳥ポケモンで始まるオープニング、原作リスペクトでいいですね。バッフロンがいち生物として画面に馴染みすぎてて笑う。ここがケンタロスミルタンクじゃないことで、多世代を満遍なく出す意識が伝わってきます。

・パーティーポケモンって表現面白い。パリピ

・部屋に飾ってあったオーダイルのポスターかっこよかったので欲しい。レシラムとゼクロムのポスターはカードゲームのアートにあった絵だった気がします。

・一瞬映る古代壁画ではぼんぐりが投げる姿が描かれていて好感度上がったもののフシギダネとかの絵が新しすぎて古代感まるでなくて笑う。

ゼニガメ消防隊やプリンの歌はアニメリスペクトでしたね。ピカチュウが途中歩きながら口ずさむ歌は海外版アニメのOPでしたが、いったい何人の観客が分かったのでしょうか。まさか日本語歌詞あると思ってはいませんでしたが…

あそこは『めざせポケモンマスター』に差し替えても良かった気はしますが、あれトレーナー目線の歌だし尺とか音源の都合もあるだろうし難しかったんですかね。海外版もかっこいい曲なので聞いてみてください。

・「ボルテッカー?あれ痛いから嫌なんだ…」はリアルなポケモンの気持ちで笑いました。反動技だもんね。

ピカチュウが言う「アルセウスの〜」みたいなセリフは上手く聞き取れませんでしたが、多分神と引っかけて上手いこと言おうとしてるのかな?と思いました。何て言ってたんだろう。

・ライムシティは橋も含めてヒウンシティっぽいなと。特に意識はしてない気もしますが、大都会を描こうとすると似たような感じになるものなのかもしれません。

・パレード時のバルーン、どれもクオリティ高かった…特に先述の通り一番好きなゲンガーがめちゃくちゃ出来良くて感動しました。(戦う舞台にもされてましたが) とにかく、

あのバルーンのデザインでぬいぐるみ作ってください!!!!

・パレードのロゴ?の周りを回ってるゲンガーやプリンのホログラムはPGL(ポケモングローバルリンク)の絵でしたね。最近めっきりゲームに触れていないので懐かしかったです。

・街中にあるポケモンを模したロゴ良いですね。カフェの色違いヨルノズクがものすごく気に入りました。あとはチュリネチェリンボもちらっといました。ロゴ以外ではディアパルのオブジェもかっこよかったけど、あれは社長室以外に置いたら完全に浮くやつですね…

・研究所か何かでPCLって言葉が出て来ましたが、現実にポケモンカードゲーム研究所やポケモンサークルリーグの略称として使われているため、そちらが頭に浮かんできてしまいました。

 

…とまあ、そんなところでしょうか。

総じてやりたいことやりきったなという感じがしました。字幕で観たらまた違った感想もあるかもしれませんが、とにかく個人的に難点は多いもののそれなりの作品に仕上がっていたと思います。

まだ観てないのにここまで読んだ方は観に行っていただき、既に観たよ!という方とはぜひ色々語りたいです。

 

あーミュウツー楽しみ!!

おわり